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Fig-13 Adsorbent breakthrough curves for CO2/N2,He(WA-21)

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Fig.14 Result of adsorbent breakthrough experiment

共吸着することにより炭酸ガス吸着効率が下がると考えられる。一方、ヘリウムはMSに吸着されないために炭酸ガス吸着効率には影響を与えないものと推察する。
Fig.12及び13は吸着剤として固体アミンSA(WA-21)を用いた吸着剤破過試験結果を示す。同様の比較を炭酸ガス/窒素と炭酸ガス/ヘリウムの各々の混合ガスに対して行った。2本の破過曲線を比較した場合大きな違いはない。即ちSAの吸着効率はキャリアガスには依存しないものと考えられる。これはSAが炭酸ガスのような酸を選択的に吸着するため、この特性によりキャリアガスである窒素やヘリウムは炭酸ガス吸着効率に影響を与えないものと推察される。
Fig.14に破過試験の結果を示す。一般的にヘリウムをキャリアガスとした炭酸ガス/ヘリウム混合ガスを用いた場合、MSの破過時間は、SAの破過時間より長くなる。それ故にMSは炭酸ガス吸着剤に適していると考えられる。キャリアガスとして炭酸ガス/窒素混合ガスを用いた場合でもMSの破過時間は、SAの破過時問に比べ長くなっている。上記の結果からMSは低分圧領域において炭酸ガス吸着剤として適していることが確認された。一般的に得られているデ一夕によると大気圧下ではSAの炭酸ガス吸着効率はMSよりも高いが炭酸ガス分圧が低い条件ではSAの炭酸ガス吸着効率が下がると考えられる。
5. 結論と今後の課題
この実験的研究においてMSの吸着効率は炭酸ガスの分圧が低い場合においてもラングミュア式によって概算することが可能なことが確かめられた。また4ATA(炭酸ガス分圧:0.005ATA)の高気圧環境下において下記のことが確認された。
(1)MSの炭酸ガス吸着効率はSAの吸着効率に比べ大きい。
(2)MS吸着効率はキャリアガスに依存しキャリアガスとして窒素よりもヘリウムを用いた場合の方が炭酸ガス吸着効率が大きくなる。
以上から高気圧下で使用可能な炭酸ガス除去剤について選定データを得ることができた。
今後、炭酸ガス吸着剤について吸着・脱着時の最適な温度、圧力を明らかにすると共に吸着剤と除湿剤を組合わせた炭酸ガス吸着、脱着サイクルの試験を行い炭酸ガス除去に関する総合的な評価を行う必要がある。
参考文献
1)有馬宝生、高津尚之:海中居住−過去・現在及び未来、Marine,P86-93,(1993)
2)海洋科学技術センター:海中作業基地による海中実験研究、(1974)
3)T.Noguchi:An Experimental Study on Carbon Dioxide Absorber for Hyperbaric Use,13thUJNR/MRECC Diving Pysiolosy Panel Proceedings(1995)
4)慶伊富長:吸着、共立全書157、P33、(1965)
5)柳井弘:吸着剤・吸着操作の設計、技報堂出版、P59、(1982)

 

 

 

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